不倫相手に子どもができてしまった場合の対応と慰謝料

不倫相手の妊娠は難しい問題で、正解があるわけではありません。
自分・不倫相手・妻のほかに、お腹の子ども、妻との間の子どもなど、複数の人間の人生に影響してくるからです。そこで、不倫相手に子どもができたときに発生しうる問題とその対応、慰謝料などについて解説します。

不倫相手の妊娠が発覚したときにやるべきこと

不倫相手の妊娠が発覚したとき、まずやるべきことは次の3つです。

1.本当に妊娠しているかを確認する

単に生理が遅れているだけなのか、本当に妊娠しているのかをはっきりさせましょう。女性の生理周期は、ストレスや生活習慣、その他さまざまな影響で前後します。
また、市販の妊娠検査薬も100%正確な結果を反映するものではありません。最近では陽性反応を示した妊娠検査薬が、インターネット上で売買されているというニュースもあります。不倫相手にもし悪意があった場合、こういった不正な手段で妊娠をほのめかす可能性もゼロではありません。

「疑うつもりはないがしっかり対応したいから、はっきりさせよう」と不倫相手に提案し、一緒に病院で検査の結果を確かめるべきです。ちなみに、病院で妊娠を確認できるのは妊娠5週目以降(2か月目以降)からです。

2.中絶か出産かを話し合う

非常にデリケートな問題ですが、結論が出るまでに時間がかかることを考え、早急に話し合うべきでしょう。不倫相手は実際に肉体的な変化が生じますから、精神状態が不安定になりがちです。できるだけ落ち着いた状態で話し合い、強引に結論を出さないよう注意しましょう。
ただし、人工妊娠中絶には「22週目」というタイムリミットがあるうえに、妊娠11週目とそれ以降では中絶の方法が変わります。

3.二人の関係について話し合う

不倫相手が中絶・出産どちらを決断する場合も、不倫相手との関係をどうするのかは重要な課題です。
中絶の場合はその費用を負担する必要がでてきますし、出産の場合はご自身の家庭に対する影響が避けられないため離婚の危険性が高まるでしょう。いずれにしても、不倫相手が妻に慰謝料を支払う可能性は高くなります。
特に不倫相手の出産を機に離婚する場合は、妻に対し相当額の慰謝料を支払う可能性を想定しなくてはなりません。

出産・中絶でそれぞれ必要な対応

次に、出産・中絶のそれぞれについて必要な対応を解説します。一般的には、どちらの場合でも不倫相手に対するさまざまなケアが必要です。

1.中絶する場合

相手の女性は、中絶によって精神・肉体・経済状況にダメージを負います。これらに対するケアをなおざりにすると、そのこと自体が慰謝料請求の対象になり得るでしょう。また、中絶を理由に女性が仕事を休めば「休業損害」の補填が必要ですし、中絶費用も負担しなくてはなりません。妊娠の原因を作った以上、少なくとも、半額の負担は避けられないでしょう。

ただし、精神的な損害については、計算が難しい問題です。最終的に不倫相手が中絶を決断するため、法的には、自分の決断による精神的苦痛を他人に転嫁できるか、という問題があります。

円満解決を目指すならば、弁護士に相談しながら、支払額を確定させるのが良いでしょう。

2.出産する場合

不倫相手が子どもを出産した場合、それ自体に対する慰謝料は発生しません。ただし、子どもの養育費の問題が発生します。養育費は、裁判実務にならい、自分と不倫相手の年収を「養育費算定表」に照らして算出することが多いでしょう。例えば、自分の年収が500万円で不倫相手が200万円ならば、毎月2~4万円が相場になります。不倫相手とのトラブルの長期化を避けるためには、5歳から19歳までは毎月4~6万円の支払いを検討した方がいいかもしれません。

参考:養育費算定表 http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf

さらに、どちらの場合でも「妻から夫及び不倫相手への慰謝料請求」が発生する可能性があります。

不倫相手の子どもを認知する義務は?

認知には、「任意認知」と「強制認知」の2種類があります。任意認知は、子どもの生物学上の父親が、必要書類を市区町村の窓口に提出することによって行うものです。任意認知を行わない場合、不倫相手や子ども等から認知の訴えを起こされる可能性があります(強制認知)。
強制認知は、家庭裁判所での「認知調停」を行っても認知が行われない場合、裁判によって認知を確定する手続きです。一般的な民事訴訟と同様に、証拠によって裁判所が認知されるべきかを判断し、判決が出されます。もし不倫相手と認知について争いがある場合は、認知調停や強制認知が起こされる可能性を視野に入れながら対応すべきでしょう。

弁護士のサポートで円満解決を目指す

このように不倫相手が出産・中絶のどちらを選択しても、法律的な問題がつきまといます。話し合いがまとまらず、不倫相手が妻を巻き込むような事態になれば問題は複雑化するでしょう。
不倫相手の精神的・肉体的なケアを含めた円満解決に向かうためには、弁護士のサポートが必要です。認知や慰謝料への対応も想定し、弁護士に相談することをおすすめします。