ダブル不倫なら慰謝料はどうなる?

「不倫」が離婚のきっかけであるとき、慰謝料の支払いが絡むケースは多いです。慰謝料の支払いは、不倫が原因の離婚で最も争いになりやすい部分ともいえます。また、当事者が二人とも既婚者である場合は「ダブル不倫」となり、慰謝料はさらに複雑になるのです。そこでダブル不倫の整理と、慰謝料請求について解説します。

ダブル不倫とはどういうケース?

一般的にダブル不倫とは、「不倫の当事者が二人とも既婚者だった」というケースを指すことが多いです。もう少し簡単に言うと「結婚している(配偶者がいる)男女間の不倫」ですね。

不倫の当事者双方に配偶者がいるため、一般的な不倫よりも争いが複雑化・泥沼化する傾向にあります。また、慰謝料請求も通常とは異なることに注意が必要です。では、実際にダブル不倫の慰謝料請求について、事例を交えながら詳しく解説します。

ダブル不倫の慰謝料!通常の不倫とどう違う?

不倫は通常、「当事者(不倫をした者)」と「被害者(不倫をした者の配偶者)」という図式が成立します。このとき、被害者が当事者に対し、慰謝料を請求します。また、被害者は1人(不倫をした者の配偶者)、当事者は2人です。

しかしダブル不倫では、被害者が2人になります。当事者双方の配偶者が被害者になるため、通常の不倫よりも1人多いわけです。この被害者の数の違いが、慰謝料請求に関わってきます。そのため、通常の不倫とは異なり、「誰が誰に慰謝料を請求するか」が重要なポイントになるのです。

例えば、夫A・妻B、夫E・妻Fという2組の夫婦がいたとします。このとき、夫Aと妻Fが不倫関係になり、ダブル不倫の状態になったとしましょう。このケースでは、妻Bと夫Eが被害者です。それぞれが自分の配偶者とその不倫相手(夫Aおよび妻F)に対して慰謝料の請求権を持っています。もしダブル不倫が原因で離婚に至る場合は、不倫の当事者2人に慰謝料を請求しても問題ないでしょう。

しかし、離婚しない状態で不倫の相手方に慰謝料を請求すると、相手方の配偶者からも慰謝料を請求される可能性が出てきます。
今回の例でいえば、妻Bと夫Eの間柄ですね。二人とも被害者であるゆえに、慰謝料の請求合戦になり、泥沼化する可能性があるのです。

少しややこしい話ですが、要は「被害者が不倫の相手方に慰謝料を請求すると、自分の配偶者が相手方の配偶者から慰謝料請求される可能性がある」ということです。こういったケースでは、お互いが相手の配偶者に慰謝料を請求し合うことになり、金銭的にも労力的にもあまりメリットがありません。

この点が、未婚者を相手方とする通常の不倫との決定的な違いです。慰謝料を請求する権利はあるものの、いざ実行するかどうかは、慎重な判断が求められます。

また、慰謝料を請求された側も、こういった事情をもとに交渉し、慰謝料の減額に話を持ち込むことができます。しかし当事者と被害者の関係が複雑になりがちなため、減額交渉には専門家のノウハウとアドバイスが必要でしょう。ダブル不倫では、当事者・被害者のどちらでも、離婚に強い弁護士に相談すべきなのです。

弁護士の力でダブル不倫の慰謝料問題を解決

離婚を伴わないダブル不倫の慰謝料請求や慰謝料減額交渉は、弁護士を活用すべき案件です。被害者それぞれに離婚の意思があるかどうかを確認しつつ、適切な範囲で慰謝料の請求・減額を進めていくのは、非常に難しい交渉だからです。

一般的に離婚の慰謝料は、100万円から500万円が相場です。しかしダブル不倫の場合、相手方が離婚したならば300万円、別居状態ならば200万円、夫婦関係が元に戻った場合は100万円など、個別に金額が変わってきます。また、ダブル不倫前から相手方夫婦の関係が破たんしていたならば、慰謝料自体が必要ない、という可能性すらあるのです。

こういった微妙なニュアンスによる慰謝料の調整は、弁護士を介入させることで早期解決が見込めます。できるだけ問題を複雑化・泥沼化させずに解決するため、早めに弁護士へ相談してみてください。