離婚するタイミングを見極めるポイント

離婚を考えているときは「一刻も早く結婚生活を終わらせたい、離婚したい」と感情的になるものです。しかし、離婚はタイミングが非常に重要なのです。感情に任せて行動したくなる気持ちはわかりますが、ここはひとつ冷静になって、最適なタイミングを見計らいましょう。タイミングによって、その後の人生設計も変わってきます。では、離婚に適したタイミングとは、どのようなものなのでしょうか。

離婚に適した5つのタイミング

まず、一般的に離婚に適したタイミングと思われるケースを、5つのパターンで整理してみます。

1.不貞行為(浮気、不倫など)があった
感情的にならず、まずは証拠集めを行いましょう。後々の慰謝料請求や離婚の手続きにおいて、不貞行為の証拠は重要な意味を持ちます。
浮気や不倫の証拠となる音声、会話、写真、動画などをできるだけ集めた後に、離婚に向けて動きだすべきです。

2.夫婦関係に問題がある(悪意の遺棄)
夫婦は、夫婦生活を送る上で助け合わなければいけないという義務があります。これを相互扶助の義務と呼びます。そのため、正当な理由なく別居したり、家に帰らなかったりすると、「悪意の遺棄」に該当し、離婚の原因になるのです。悪意の遺棄では、「結婚生活を続ける意思」や「生活費の有無」「共有財産の持ち出し」などをチェックしたあとに離婚するのが良いでしょう。

3.DVがある
DVは法律上の「離婚原因」になります。これは単なる喧嘩のはずみなどではなく、「暴力」といえることが必要です。「暴力」は物理的なものだけに限られず、精神的なもの(暴言等)も含まれます。いわゆるモラハラですね。モラハラは物理的なDVよりも離婚原因として認められにくい傾向にあります。この点を理解したうえで、証拠を集める必要があります。

4.結婚して日が浅く子供がいない
少しドライな言い方ですが、結婚してからそれほど年月が経っておらず子供もいない場合は、離婚が生活に与える影響が少ないです。専業主婦になっていたとしても空白期間が短ければ仕事に復帰しやすく、慰謝料や養育費の問題も発生しません。

5.夫の退職
いわゆる「熟年離婚」では、夫の退職を機に離婚するケースが多いです。ただし、財産分与や年金分割などをしっかり話し合い、目途が付いた段階で離婚に踏み切るのがベストでしょう。

離婚は「収入」「住居」の目途がたってから

これは前述の1や3のパターンに多いのですが、「どうしても我慢できずに衝動的に離婚した」というケースでは、その後の生活が不安定になりがちです。特に子供がいる場合は、養育費の問題があります。離婚を機に生活が不安定になってしまっては、元も子もありません。出来る限りの準備をすべきです。

ここで重要なのが「収入」と「住居」の確保です。
もしDVによって避難する必要がある場合は、公的な機関(警察や市役所)に相談しましょう。状況によってはシェルターを紹介してもらえることがあります。自分で別居先を探す場合、何度も引っ越しをするのは大変なので、実家に戻るのか新しい部屋を借りるのか慎重に検討し、計画的に別居を進めるのが望ましいです。さらに、できることなら、別居後に定期的な収入が得られる仕事も見つけておきたいところ。

離婚では、別居中の生活費を「婚姻費用分担申立」によって回収できるものの、多くの場合裁判所を介した調停や審判が必要です。裁判所を利用する場合にはすぐに生活費を確保できるわけではないため、別居前に当座の資金を確保しておくことが必要です。

特に、金銭面の準備は、入念に行いましょう。慰謝料や養育費、財産分与、年金分割についてある程度の見通しが立った状態で離婚に向けて動きだすのが望ましいです。ただし、大半のケースが話し合い(協議)では解決しません。裁判所への調停や裁判の申し立てが必要です。できる限り有利な解決を導くため、専門家のサポートを受けることをお勧めします。

離婚のベストタイミングを弁護士と探る

ここまで紹介したように、離婚のタイミングはさまざまです。とはいえ、少なくとも、金銭面の目途がたたないうちに離婚に向けて動きだすのはおすすめしません。離婚に強い弁護士に、離婚したい旨を相談し、離婚に向けて計画的に準備を進めましょう。極論ですが、「慰謝料・養育費・財産分与・婚姻費用分担・年金分割」などの見通しがたったときが、離婚のベストタイミングです。弁護士のサポートのもと、最適なタイミングを計っていきましょう。