旦那とすぐに離婚したい人がすべきこととは

男女関係のもつれは法律問題に発展することも珍しくありません。特に女性ならば、例え夫であっても一旦信頼関係が崩れた人とは離れたいと思うのが自然です。しかし、離婚となると様々な障壁が立ちふさがり、自分の気持ちに正直になることをためらってしまう方が多いようです。そこで、夫と離婚したいと考えたとき、まず何をすべきかを整理しておくべきでしょう。離婚はエネルギーを使うものですが、それでもやるべきことがはっきりするだけで、随分と心が軽くなるからです。

離婚をできるだけ早く成立させるためにすべきことは?

離婚を成立させることは、時間の制約がなければそれほど難しくはありません。しかし、女性にとって好ましくない人と共に過ごす時間は、苦痛以外の何物でもありませんよね。ご自身の精神的・肉体的な負担を取り去るためにも、迅速に離婚へ向けて動き出すべきでしょう。

住まいと生活費の確保はマスト

では早速本題に入りましょう。夫とすぐにでも離婚したい人は、何よりも経済的な問題を解決すべきです。簡単に言うと「住まい」「生活費」ですね。この2つを事前に確保することが、最優先といえます。この2つの問題に本気で向き合っていないことから、ずるずると不本意な結婚生活を続けてしまう方が多いように見受けられます。

ご実家に帰省できる状態であれば、まずご両親に事情を話し、離婚後の仮住まいとして実家を選択肢として押さえておきましょう。住居費と生活費を節約できますし、そのことによってご自身の精神的な安定も得られやすいからです。しかし、ご実家に帰省するのが難しい場合は、引越費用+当面の生活費として100万円から200万円は確保しておきたいところ。離婚時の財産分与や慰謝料などは、手元に入ってくるまでにタイムラグがありますから、半年~1年分の生活費を確保できると安心です。また、十分な生活費を確保できない場合でも別居後の生活を助けてくれる「婚姻費用」というものがあります。

婚姻費用分担請求の準備をする

お金の話ばかりが続くようですが、住まいと生活費の都合がついたら、旦那(夫)に請求できるものを整理しておかなくてはなりません。夫に請求できる権利としては「慰謝料」や「財産分与」が有名ですが、意外と知られていないところで「婚姻費用の分担請求」があります。婚姻費用の分担義務とは、夫婦が共同生活に必要な費用を、双方の収入や資産に応じて分担する義務のことです。婚姻費用は請求した時からもらうことができますから、できるだけ早く準備すべきです。民法では第760条に規定があります。

“民法第760条(婚姻費用の分担)
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。”

婚姻費用には、常識的な範囲での「衣食住費」「交際費」「娯楽費」「医療費」「子どもの養育費」などが含まれます。離婚が成立するまでの間、別居後無収入になり、貧困に陥らないためにも、婚姻費用の請求は重要なことがらです。
離婚を目指しているとしても、夫婦間で生活費が必要なことには変わりがないわけですから、夫に対しご自身の生活費を分担してくれるよう請求するのです。例え別居中であっても、法律上の婚姻が継続していれば、婚姻費用の請求は可能です。ちなみに、婚姻費用には相場というものがなく、法律でも規定があるわけではありません。基本的には夫婦間の話し合いによって決められます。ただし、家庭裁判所の婚姻費用算定表を参考資料として、婚姻費用の請求額が決められることが多いです。

話し合いすらしたくない!という場合は?

婚姻費用の分担は双方の話し合いによって決めるのが基本ですが、もはや夫との信頼関係が崩れ、顔を見るのも言葉を交わすのも苦痛……という方も珍しくありません。このようなときは、「婚姻費用分担請求の内容証明郵便」を送ることで対応します。このとき内容証明の中に「既に別居状態(生計を共にしていない)にある事実」「婚姻費用を請求する旨とその金額」「支払額と口座」などを記載しましょう。

それでも婚姻費用が振り込まれなかったら?

内容証明を送ったにもかかわらず期限までに費用が振り込まれないようであれば、「婚姻費用分担請求調停」を起こすことになります。2000円ほどで誰でも申し立てることができます。調停は調停委員会が間に入って行う話し合いですので、必ず成立するとは限りません。調停が不成立に終わった場合、家庭裁判所が強制的に判断を下す「審判」に自動的に移ります。

調停や審判の成立前に費用が欲しいとき

別居状態が長く続き、生活費に困窮しているケースなどでは、調停や審判の期日を待てないこともあります。そのようなときは「調停前の仮処分」や「審判前の保全処分」で対応することになります。どちらも家庭裁判所を通じて、婚姻費用の支払いを早めてもらうよう夫へ促してもらう手続きです。

婚姻費用の分担を確実に受けるために弁護士への相談を!

このように離婚と経済的な問題は切っても切り離せないことから、まずは「住まい」「生活費」「婚姻費用」の確保という3点に取り掛かるべきです。養育費や慰謝料の問題もありますから、これらを含めて離婚調停を得意とする弁護士に依頼するという方が多いようです。特に、女性同士で気兼ねなく相談しやすいこともプラスに働くことから、女性弁護士への依頼が増えています。無料相談で弁護士との相性を確認しながら、できるだけスムーズかつ円滑な離婚手続きが進むよう対策を取っていきましょう。