離婚後の再婚禁止期間と再婚のタイミング
離婚後の再婚は、人生の新しい船出として重要なイベントです。しかし、男性には特に制限がない一方で、女性には「再婚禁止期間」が存在します。これには、納得がいかない女性も多いかと思いますが、仮に女性が妊娠していたとき、その父親が誰かについて無用な争いを起こることを防ぐために必要だとされています。では、再婚が禁止されている期間と、再婚可能なタイミングとは一体いつなのでしょうか?
女性だけ再婚禁止期間が設定されている理由
女性は男性と違い、離婚してすぐ次の日に再婚することができません。女性の場合、離婚から再婚までの期間が一定の日数以下だと、妊娠したときに「父親」を推定するのが難しくなってしまうからです。では一定の日数とは何日かといえば、それは「100日」です。かつては6か月だったのですが、2015年に100日を超えた部分については憲法違反であるという判決が出たことで、100日へと短縮されました。民法第733条に規定があります。
“第733条 (再婚禁止期間)
1.女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2.前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合”
女性にとっては極めて不平等な決まりに見えるかもしれません。しかし、子どもの父親を巡って無用な疑いや争いを生まないためには、必要な規定であるとも考えられます。実際にこの規定が世に出たのは明治時代なのですが、一定の合理性があるとして現代まで受け継がれています。
再婚禁止期間が100日である理由は?
次に、「なぜ100日間は再婚できないのか」という点について解説しますね。これは第772条に規定されています。
“第772条 (嫡出の推定)
妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。”
このように民法上では、「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子」「結婚後200日を過ぎて生まれた子は現夫の子」と定めています。この規定を突き詰めて考えていくと、「離婚した日に再婚し、201日目から300日目までに妊娠が発覚したとき、どちらの子どもか推定できない」という問題が生じます。つまり、離婚即再婚した日から数えて201日目から300日目までの間に「父親が2通り考えられる期間」ができてしまうわけですね。これを解消するために、離婚後100日間は再婚ができないようにしているわけです。
再婚できるタイミングはいつ?
これらを踏まえて考えると、再婚のタイミングは離婚してから100日以降となります。しかし、絶対に100日経過しなければいけない、というわけでもありません。100日ルールは女性が妊娠している可能性を考慮して定められたものですから、離婚時に妊娠していないことを証明できれば良いのです。これは、前述した第733条の2項にも書かれている通りです。
“第733条の2
2.前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合”
つまり、「離婚時に妊娠していないこと」「離婚後に出産済みであること」を医師の診断書によって証明できれば、離婚後100日が経過していなくても再婚できるのです。できるだけ早く再婚したいという方は、この例外を覚えておくと良いでしょう。
離婚や再婚時のデリケートな相談は弁護士へ
このように、女性にとって離婚後の再婚には、妊娠という極めてデリケートでプライベートな部分が絡むことになります。場合によっては離婚にかかる時間が長引いて、なかなか再婚までたどり着けないことも考えられるでしょう。妊娠している可能性の有無にかかわらず、離婚に強い弁護士のサポートを受けることが、スムーズな再婚の実現へと繋がります。離婚、再婚でお悩みの女性は、センシティブな部分を打ち明けやすい同性の弁護士へ相談してみてはいかがでしょうか。