相手から要求された慰謝料の額は減額できますか!?
離婚の原因次第では、相手方から慰謝料が請求されることも珍しくありません。基本的には誠心誠意対応していくしかないのですが、時と場合によって減額が可能です。では一体どんな手順で減額させることができるのか、解説していきます。
慰謝料の相場は?法外な慰謝料を請求されたら?
巷でよく言われる慰謝料の相場は、「100万円~500万円」の間と言われています。夫(妻)の浮気が原因であれば、200万円~400万円の間という説もありますが、おおむねこの範囲に収まると考えて良いでしょう。しかし、相手方が必ず相場通りの慰謝料を請求してくるとは限りません。ときには、感情の赴くまま、嫌がらせ目的で法外な慰謝料を請求してくることもあります。このようなとき、減額に値する正当な理由を主張しつつ、「慰謝料を減額させる手続き」にのぞむことが大事です。
慰謝料の減額が可能なケースは?
離婚慰謝料の減額可能なケースは主に3つです。
ひとつめは「相場以上の金額を請求されたとき」。既に述べたように慰謝料には相場が存在していて、特に500万円以上の慰謝料を請求する場合には相応の理由が必要です。そのため、1000万円や2000万円といった相場からかけ離れた慰謝料に対しては、しっかりとその根拠を確認して対応すべきでしょう。
2つめは、「相手にも落ち度があるとき」です。
例えば夫婦関係がすでに事実上破たんしていて、浮気相手が独身と信じてしまうような理由があったときなどは、これに該当する可能性があります。また、仕事上の立場から無下に関係を断れなかったり、プラトニックな関係に終始していて肉体関係がなかったりといった場合も、慰謝料が減額される理由になります。
3つめは「慰謝料を支払うだけの資産・収入がないこと」です。
この事情があるからといって、必ずしも減額が可能というわけではありません。しかし、専業主婦で収入がない場合や月々数万円のパート代のみが収入源である場合、預貯金がほとんどない場合などでは、離婚慰謝料が減額される可能性があります。ただし、あくまでも「支払う意思はあるが、ない袖は振れない」という態度を示すことが重要です。
これら3つに加えて「誠心誠意謝罪し、今後二度と同じような過ちを繰り返さない」と約束することで、慰謝料の減額を受けられることもあります。ただし慰謝料の請求に「離婚」という事実が絡むと、手続きはやや専門的になります。要は、当事者同士の話し合いだけでは済まなくなるのです。
離婚慰謝料を減額する手順は?
では実際に法外な離婚慰謝料を請求されたときに、慰謝料の減額請求を行うための手順を解説します。一般的に離婚慰謝料を減額するには「協議離婚での減額交渉」か「調停・裁判による手続き」かの2択になります。
協議離婚による慰謝料減額交渉
協議離婚はあくまでも当事者どうしの話し合いがベースになりますから、裁判所による仲介は行われません。しかし、慰謝料の減額交渉がからむと、協議がなかなか一筋縄ではいかないでしょう。特に相手方が弁護士のサポートを受けている場合は、こちらも慎重に対応しなくてはなりません。また、「二度と顔も見たくない」という感情を相手方に抱いているのなら、弁護士に依頼するのが賢明です。
離婚調停・離婚裁判による減額請求
協議離婚によって慰謝料が確定しない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。ここでも自分の主張を貫き、確実に慰謝料減額を受けるために、弁護士を代理人に立てる方が少なくありません。離婚調停はとかく感情的になりがちで、冷静かつ論理的に物事を主張するのが難しい場だからです。
特に精神的に傷ついており、まだ立ち直っていない状態にある場合は、弁護士に依頼することで精神的な安定を得られやすいでしょう。また、調停・裁判を通して「慰謝料を減額させるに値する理由・証拠」の用意も必要ですから、これについても弁護士のサポートを受けられることは大きなメリットになります。さらに相手方が慰謝料に対して強気の態度を崩さない場合は、自分の中で思い当たる節を全て弁護士に告白し、対応してもらうことが重要です。
感情的になりがちな場だからこそ専門家が必要
慰謝料の請求・減額は「精神的な苦痛」を根拠として金額が決められがちです。つまり、ご自身の最も触れられたくない部分を他人に話す必要があるわけです。これは、増額であっても減額であっても、基本的には変わりありません。だからこそ、心のうちをしっかりとくみ取ってく手続きを代理する存在が必要になります。また、慰謝料の相場、妥当な金額の算出、減額に相当する理由や証拠の作成なども、プロの手が必要になります。感情的な部分やプライベートな部分を打ち明けやすい弁護士へ依頼するようにして、心理的な負担を少しでも減らすことをお勧めします。