離婚問題で弁護士に事件委任した場合の費用相場
1 はじめに
離婚をめぐる問題でお悩みの方は多いかと思われます。
自分で対処するのが辛かったり、相手が弁護士をつけてきたり、調停を申立てられたり裁判を起こされているなどの場合には、弁護士に依頼をすることを検討している方もいらっしゃるでしょう。
そのような場合に気になるのが、弁護士に頼むことによりかかる費用のことだと思います。
弁護士に頼むとどれくらい費用がかかるかについて、お話していきたいと思います。
2 弁護士報酬の自由化
以前は、弁護士報酬の額については、日本弁護士連合会や各弁護士会が基準を定めており、これに基づいて計算されていました。
しかし、2004年4月1日より、これらの基準が廃止され、弁護士がそれぞれ自由に報酬を定めることになりました。
ですから、ひとことでいうと、離婚に関する弁護士費用は、「依頼する弁護士次第」ということになります。
とはいえ、どんな決め方をしてもよいわけではなく、報酬は、経済的利益、事案の難易、時間、労力その他の事情をふまえ適正かつ妥当なものでなければならないとされています。
また、現在でも日本弁護士連合会や各弁護士会が定める基準をもとに報酬を決めている弁護士が多いので、かつての報酬基準を参考にされるのもよいかもしれません。
3 離婚にかかる弁護士費用
(1)法律相談料
法律相談料とは、弁護士に離婚の相談をしたときにかかる費用のことです。
離婚問題を弁護士に依頼する場合、まずは、ご自身がかかえていらっしゃる問題でどのような方向を目指すのか、自分の要望がとおる見込みがどれくらいあるのか、弁護士になにをどこまで依頼するのかなどを判断するために、法律相談をすることになるでしょう。
ご自身がかかえている問題の解決については、相談する弁護士によって、進め方や見込みが異なることもあります。ですので、ご自身で方向性を決めるために、複数の弁護士の意見を聞くこともできます。
旧報酬基準では30分5000円~(税抜)でしたので、このあたりが相談料の相場となることが多いです。
ただし、最近では初回30分無料の法律相談もあります。
また、弁護士会や市役所で無料の法律相談をしていることもあります。依頼する弁護士に特にこだわりがない場合には、名簿順で弁護士が担当しているそれらの法律相談の実施場所や開催日時を調べ、各施設にアドバイスを受けに行くという方法もあります。
相談段階から弁護士選びにこだわりたい方は、各弁護士のホームページで弁護士を選んだうえで、直接連絡を取ったうえで、相談に行かれることをお勧めします。
なお、相談場所や弁護士によっては、そのまま事件を依頼する場合はその日の法律相談料がかからないこともあります。詳しくは、相談した弁護士にご確認ください。
(2)着手金
弁護士費用には、着手金という費用があります。
これは、弁護士に離婚事件の対応を依頼したときに、最初に支払う費用です。
事件における初期費用のようなもので、事件着手のときにまとめて支払うものです。
着手金については、たとえ、事件が、ご自身の望むような形で解決されなくても後から返ってくることはありません。
もっとも、途中で弁護士との委任契約を解約された場合には、事案の進行に応じて返還されることもあります。着手金が返ってくるのか、返ってくるとしてどれくらい返ってくるかは、弁護士を解任される前にその弁護士にご確認ください。
着手金は、かつての報酬規定を基準に交渉段階で20万円~、裁判で30万円~のところが多いと思います。ただし、旧基準でも、事案の複雑さによって、増減されることがあるので、具体的には相談によって弁護士に依頼したい内容を伝えて、弁護士自身に尋ねることをお勧めいたします。
(3)報酬金
報酬金とは、弁護士に依頼して事件が解決したときに、その解決の内容に応じてかかってくる費用です。
離婚事件の場合、依頼者が離婚を求めていた場合は、離婚ができたことによって、一定の金額を報酬金として払う内容の約束をするのが普通です。
また、離婚にともなう慰謝料や財産分与などが認められて相手から金銭の支払いを受けることができた場合には、その金額に応じて報酬金を支払う約束がされることが多いです。
(4)日当
日当とは、弁護士が遠方に裁判に行ったり、現地調査に行ったりすることで、まとまった時間をその事件に費やす場合に支払いが約束される弁護士費用です。
(5)実費
実費とは、事件をすすめるときに実際にかかる必要費用のことです。
たとえば、相手に内容証明を送るときの費用であったり、訴訟を提起するときにかかる印紙代や郵便切手などの費用であったり、弁護士が裁判所に行くときの交通費などが含まれます。
4 まとめ
現在では、弁護士報酬が自由化されたため、依頼する弁護士によって、報酬は異なります。
なお、最近、相場より安い弁護士報酬をうたって依頼者を集めている弁護士がいます。
そのように離婚事件を相場より安く受けている弁護士は、事務所を維持するためたくさんの事件を受けなければならなくなるため、一つ一つの事件に時間や手間や情熱を傾けるわけにいかないはずです。
実際、そのような弁護士に弁護士報酬の安さにひかれ依頼したものの、期待した法的サービスが全く受けられないため、前任者を解任したうえで、当事務所に依頼された方が複数いらっしゃいます。
この場合、結局ご自身が負担される総額は高くついてしまいます。
そのため、法律相談の際には、弁護士費用の安さだけでなく、信頼できる弁護士かどうか依頼する前によく見極めることも大事です。
いずれにせよ、弁護士は報酬について説明をしたうえで、委任契約書を作成しなければなりません。
ですので、契約を結ぶ前に報酬について理解できない場合や疑問を感じた場合は、それらについて質問したうえで、疑問や不安を解消しておくことが大事です。
安心してご依頼いただくために、報酬のことも気軽にご質問くださいね。